ニースからタンドまでのタンド線は、景勝路線として知られています。フランス後発音は「トンデュ」に近い感じで、イタリア語発音ではテンダになるようですが、このページでは「タンド」で統一します。
南仏には、タンド線の他にもう1つ、プロバンス鉄道という景勝で有名な路線がありますが、個人的にはタンド線の方がお勧め度が高いです。
景色の良い路線で列車に乗る時の悩みが、左右どちらに座ると良い景色を見られるかです。タンド線の場合、どちら側にもそれぞれ絶景があるので、なかなか悩ましいところです。
ニースからタンドに向かう場合、険しい山岳の風景やループ線の景色を見るなら進行方向右側に軍配が上がると思います。Fontan-Saorgeに到着する直前に見えるSaorge(断崖絶壁にへばりつくような街です)も、進行方向右側に見えます。ただ、タンドに到着する直前に通る橋の上から見えるタンドの町並み(写真)は左側からしか見ることができないので、最後の1区間は左側に移動するのがお勧めです。往復するなら、行きと帰りで座る位置を変えるのもいいでしょう。
タンドの街は、山肌にへばりつくようにして階段状になっています。鉱山街というわけではないはずですが、なぜだかラピュタのパズーが住んでいた街を思い浮かべてしまいました。
タンドの街の素晴らしいところは、階段状になった街を実際に歩いて巡れることです。自動車の通れないような路地や階段が迷路のように入り組んでいます。この雰囲気は写真ではなかなか伝えにくいのですが、普通に歩いているだけで、不思議な世界に紛れ込んだような探検気分に浸れます(路地は生活道路なので、地元の人の邪魔にならないように気をつけましょう。すれ違う際は挨拶をするといった気配りも必要です)。
一方、街の全景を見るには、川を挟んだ対岸から街を見るとよいです。車窓からの景色も、対岸側からのものになります。
タンド線の中で特に景色が良い区間は、ブレイユ・シュル・ロワイヤ(Brell sur Roya) 〜タンドです。この区間は、フランス国鉄の列車と、イタリア国鉄の列車が走っていて、それぞれ発着地が違います。
フランス国鉄の列車はニース発着で、ニースからタンドまで約2時間です。
イタリア国鉄の列車は南のヴェンティミリア(Ventimiglia)を発着するものと、北のトリノを発着するものがあります。
ヴェンティミリア〜タンド間は約2時間です。
トリノ〜タンドは約2時間半で、タンドから南の景勝区間が約40分です。
ニース発着で往復する場合、6月〜9月の間はイザベラパスというお得な乗り放題切符があります。ただし、この切符は自動販売機では買えないようなので、窓口に並んで購入する必要があります。