イギリスの食事事情

1. そもそもイギリス料理って？
2. 美味しいフィッシュ＆チップス？
3. 美味しいエスニック料理
4. 穴場は、地方のパブ

　イギリス料理というと、どんな料理が思い浮かぶでしょうか。何も思い浮かばないとか、辛うじてフィッシュ＆チップスが出てくるという感じの人が多そうです。実はイギリスに住んでいても、意識して食べないとイギリス料理を口にする機会は少なかったりします。

　では、イギリス料理にはどういうものがあるのか、簡単に並べてみると次のような感じです。

　ステーキ
　ローストビーフ
　パイ料理（ミートパイやフィッシュパイなど）
　鶏の丸焼き

　・・・パイ料理以外は肉を単に焼いたりオーブンでローストしたりするだけです。ステーキにしても、複雑な味のソースが付いてくるフランスのステーキとは違って、イギリス風のステーキはグレービーソースの一択です。たしかに、豊かな食文化という感じではないかもしれません。

　でも、パイ料理には本当に色々な種類があり、結構調理のし甲斐もあります。きちんと作れば美味しいです。しかし残念なことに、外食でパイ料理を食べる機会はあまりない気がします。イギリス料理に期待してイギリスに行くというのは、やっぱり間違っているのかもしれません。

　イギリスに来る日本人の定番リクエストは、「美味しいフィッシュ＆チップスを食べたい」でした。でも、これに対する私の答えはシンプルです。フィッシュ＆チップスに美味しさを求めてはいけません。

　イギリスでのフィッシュ＆チップスの位置づけというのは、日本で言えばテキ屋の焼きそばです。お祭りがあれば必ず移動キッチン車のフィッシュ＆チップス屋が１つや２つは来ます。そして、その場の雰囲気を味わいながらビール片手につまむのが、フィッシュ＆チップスです。決して上品に食べるような代物ではありません。

　というわけで、イギリスに来て、フィッシュ＆チップスにトライしたということに意味があるのだ、と思ってもらえたら・・・と思います。

　

　そんなイギリスでも自信を持ってお勧めできるのが、インド料理、中華料理、中東料理といったエスニック料理です。歴史的にイギリスの植民地だった地域からの移民が経営している店が多く、本格的なエスニック料理店は結構たくさんあります。

　中華料理は日本でも食べられますが、本格インド料理や中東料理は日本では見かけないものも多くあり、しかも美味しいです。

　ちなみに、日本料理については日系の店を選べば問題ないのですが、現地資本や中国系の日本料理店もあります。場所にもよりますが、日本料理と言いつつネオ日本食としいか言いようのないような店もあります。日本人は日本食に対する評価がどうしても厳しめになってしまうので、旅行中の食事に日本食を組み込む場合は事前のリサーチをお勧めします。

　こんな感じであまり良いところのないイギリスの食事事情ですが、あえてイギリスの伝統的な料理を食べたいということなら、パブの利用も考えてみるとよいでしょう。そもそも、イギリス料理を前面に出したレストランが少ないので、手っ取り早くイギリス料理を食べようと思ったらパブに行くのが早いのです。

　ただ、パブにも色々あり、特にロンドンの中心部のパブはチェーン店化したものが少なくありません。そういうところだと大ハズレもない代わりに、メニューは結構画一的です。個人的なお勧めは、ロンドン以外の、地方のパブです。そうしたところでは、その地方の伝統的な料理を出しているところもあったりします。

　個人的に好きだったのは、スコットランドのムール貝のワイン蒸し（ベルギーのムール＆フリットに似た感じですが、港町だったので獲れたてのムール貝を使っていたようで、まるでクリームのようでした）や、ハギスでした。どちらもそれなりに個性的なので好みは分かれる気がしますが、旅先で予約なしにふらりと立ち寄れ、１人でも気後れすることがないパブはお勧めです。