イギリスの入国審査
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イギリスの入国審査は厳しいという話を色々なところで耳にします。実際、入国目的などを根掘り葉掘り聞かれることは多いです。どことはいいませんが、ヨーロッパ大陸の国の中には挨拶をしてパスポートを出せば、何の質問もされずにスタンプを押してくれることも少なくありません。それと比べれば、たしかに厳しいです。でも考えてみると、色々質問をするのが入国審査官の仕事なわけで、彼らは普通に仕事をしているだけです。日本の入国審査の外国人用窓口だって、似たようなものでしょう。
ただ、審査官が色々質問をすることを差し引いても、イギリスの入国審査は厳しいなと思うことがあります。それは、審査場や審査の雰囲気です。審査官の中には、容赦のない速度の英語で質問してくる人や、とても聞き取りにくい発音で話す人もいます。さらに、特にヒースロー空港では質問ブースに行き着くまでに長い行列ができていることも多く、運が悪いと2時間近くも待たされます。その上,行列からは入国審査に引っかかる人や長時間質問を受けている人の姿が見えたりします。こうした諸々の雰囲気が積み重なれば、あの入国審査は二度とゴメンだという気分になってしまうのも無理ありません。
しかしこの雰囲気、どこから入国するかによって、随分違います。私の経験では、ヒースロー空港が一番ハードです。日本から直行便でイギリスに入る場合はヒースロー空港以外の選択肢はないわけですが、何もヒースローだけがイギリスの入国ではありません。そこで、場所別・方法別の入国審査の雰囲気をまとめてみました。
<ヒースロー空港>
到着ターミナルや時間帯によって待ち時間はかなり幅がありますが,1時間以上待たされることもザラです。報道によると、3時間以上かかったこともあるそうで、さすがにその後、一時的に職員が増員されたようです。
ヒースロー空港が酷いと思うのは、入国審査用のブースはたくさんあるのに、なぜか開いているブースが少ないことです。1時間待ちの行列ができているのに、半分もブースが開いていなくて、しかもその少ないブースのいくつかにトラブっている人が引っかかっている…そんな光景を何回も目にしました(1回だけ、15分程度の待ち時間で審査ブースにたどり着けたことがありましたが、これは非常にラッキーなケースだと思います。)。
なお、日本発便が到着する時間帯は到着便のラッシュ時間帯なので、どうしても混雑します。これはもう、仕方ないと思って諦めるしかありません。
<ガトウィック空港>
ロンドン第2の国際空港です。第2といってもアメリカ路線などの長距離路線もあり、最近だと大韓航空も乗り入れています。日本からも、経由便を利用した場合は到着地がガトウィック空港になることがあります。
私は北ターミナルから入国した経験しかありませんが、ヒースロー空港と比べるとEU域内便が中心で、利用者もEU市民が多いためか、非EU市民用の行列自体は短いです。ただし、アメリカ路線などの非EU市民がたくさん乗っているフライトが到着すると急激に列が長くなる可能性もあるため、あまり楽観はできません。
また、行列の短さに見合って窓口の数も少なく、私が利用したときは最初1つしか開いていませんでした(最終的に3つ窓口が開き、その後はかなりスムーズでした)。ヒースロー空港ほど雰囲気が悪いわけではありませんが、待ち時間には運次第という感じです。
<ロンドン・シティ空港>
ロンドンの中心部に近い小さな空港です。入国審査のブースは6つあり、うち1つが非EU市民用となっています。この空港には定員100人以下の飛行機しか到着しない上、乗客のほとんどがEU市民のため、非EU市民のブースには10人も並びません。しかも、EU市民用のブースに空きが出るとそちらのブースに回してもらえる場合もあり、対応は親切です。
ただし問題もあります。シティ空港発着の路線は行き先も便数もかなり限られているので、使える便があるとは限りません。日本発着の航空券に組み込めるかどうかも不明です。そのため、観光旅行に組み込むには少しハードルが高いかもしれないですが、市内へのアクセスも良いですし、都合の合う便があるならお勧めです。
<スタンステッド空港>
格安航空会社が多く乗り入れている空港です。ライアンエアー、イージージェット、エアベルリン(いつの間にかワンワールドに加盟してしまったので、もはや格安航空会社ではないかもしれませんが・・・。)といった航空会社が乗り入れています。
格安航空会社の路線は欧州内の発着が中心のため、利用客の多くはEU市民です。そのため、非EU市民の窓口にとんでもなく長い行列ができるという感じではありません。その分窓口の数は少なめですが、市語りません。屋根が高く開放的な空間なので、審査場の雰囲気もそれほど悪くないと思います。
<ルートン空港>
格安航空会社のイージージェットが本拠地にしている空港です。ここからイギリスに入国したことがないので、入国審査場の雰囲気などは不明です。
ユーロスターの入国審査は、乗車駅(イギリスに入国する場合は、パリ北駅やブリュッセル南駅)で行われています。ということは、入国審査に手間取ると乗り遅れてしまうということで、これが少し厄介です。季節や時間帯にもよりますが、入国審査のブースに行列ができていることもあるので、駅には早めに行った方がよいでしょう。チケットには30分前には来るようにと書いてありますが、1時間以上は余裕を見ておいた方が無難な気がします。
多少の行列はあっても、飛行機と違って都心から都心へ直接アクセスできて便利ですし、ヒースロー空港と比べれば入国審査場の雰囲気も悪くないです。フランスやベルギーからイギリスに行く場合は飛行機よりもお勧めできます。
<ドーバー海峡航路>
ドーバー海峡航路(ドーバー・カレー間)の入国審査は、乗船前に行います。ユーロスターと同じ方式で、フランスの出国審査とイギリスの入国審査が同じ部屋に同居しています。
私が利用したときは窓口は1つしかありませんでしたが、そもそも徒歩で乗船する利用者は少ないので全く待つことなく審査に入りました。バスで同時にたくさんの人が到着すると多少待つことはあるかもしれませんが、延々待たされて嫌な思いをするということはなさそうです。ただしこのルートは港にたどり着くまでが大変なので、その苦労を考えるとどっこいどっこいかもしれません。
<オランダ航路>
オランダのHoek van Holland(ユーロポート)とイギリスのHarwichの間には、昼間に1本、夜に1本フェリーが運航されています。夜行便だと寝ている間に移動できる上、宿代も浮くので、便利かつ経済的です。
このフェリーの入国は到着地(イギリス入国の場合はHarwich)で行います。私が夜行便でイギリスに到着したときは、朝6時30分という早朝の到着にもかかわらず、旅客用(自動車ナシの人用)の審査ブースは5つくらいありました。非EU市民用はうち2つでしたが、そもそも非EU市民はあまり乗っていないようで、行列は全くありませんでした。やや雑然とした印象はありましたが、入国審査場自体の雰囲気は悪くなかったです。
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イース
初版作成:2012年09月
最終更新:2017年07月