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ヨーロッパの格安航空会社

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このページのもくじ

  1. はじめに
  2. チケットを購入する
  3. オンラインチェックイン
  4. 空港でチェックイン
  5. 受託手荷物について
  6. 持込手荷物について
  7. 搭乗口へ行く
  8. 搭乗口の行列
  9. 個人的な感想
  10. 関連ページ
 

はじめに

 日本にも格安航空会社(LCC:ローコストキャリア)がいくつか就航するようになり、格安航空会社の知名度は上がってきました。とはいえ、格安航空会社のメッカはやはりヨーロッパです。パックツアーではまずお目にかかることはないですが、個人旅行をする際にお世話になることも多いでしょう。

 一格安航空会社は、一言で言えば「高速ツアーバスのような飛行機」です。過剰な期待をしてはいけませんし、色々と制約も多いです。が、高速ツアーバスのようなものだと思っておけば腹も立ちませんし、これはこれで使い出があるものです。

 ちなみに、ヨーロッパ域内では格安航空会社の攻勢があまりに強いので、もとは普通の航空会社だったところの中にも、飲み物が有料だったり、手荷物を預ける場合は追加料金が必要だったりと、格安航空会社化している会社もあります。そこまで行かなくても、「高速路線バスのような飛行機」に当たることは多いです。もう、飛行機は特別という時代ではないということなのでしょう。

 このページでは、そんなヨーロッパの格安航空会社の使い方と注意点を紹介します。

チケットを購入する

 チケットの購入は、各社のウェブサイトで行います。ウェブサイトの操作自体は普通の航空会社のウェブサイトと大して変わらず、出発と目的地、行きの利用日と帰りの利用日(往復の場合)を入力すれば候補の便が表示されます。

 ただし、格安航空会社のチケットを予約する際には、いくつか注意点があります。

 1つ目は、最低限の英語力です。といっても入学試験の英語とは違うので、要は画面に表示されている指示や、チケットの表示を読んで理解できればOKです。

 2つ目は、利用する空港がメジャーな空港ではないことが多いということです。空港によっては、市街地から50キロ以上離れていることもあります。大抵はバスで移動できるのですが、発着空港が具体的にどこの空港で、空港からの移動手段がどうなっているかを含めて、予約前にきちんと検討しておくことが重要です。飛行機は格安だったけど、空港までの移動にお金がかかって結局高く付くとか、貴重な観光の時間が確保できなくなるとか、そんなことになっては本末転倒です。

 3つ目は、とんでもない早朝や深夜に発着する便もあるということです。いくら安いといっても、朝6時発というような飛行機だと、空港の近くに前泊しないと乗れません。その手間暇や費用も考慮に入れて、本当に安いのかを検討する必要があります

 4つ目は、利用条件をよく確認する必要があるということです。多くの格安航空会社では受託手荷物(カウンターで預ける手荷物)は有料ですが、この料金がネットで事前に予約するのと当日カウンターで支払うのとでは違うことがあります。また、機内に持ち込む手荷物も、会社によってサイズ制限や重量制限が異なります。そうした条件をきちんと確認する必要があります。

 5つ目は、決済画面に行くまでに、レンタカーだのホテルだの、さらには保険だのの申込みをしないかという表示が出てくることです。これは広告ページのようなものなので、普通の旅行ならチェックを外しておけばよいと思います。

 これらを全部くぐり抜けたら、決済画面です。決済はカードで行いますが、クレジットカードを利用する場合は決済手数料がかかるところが多いです(格安航空会社に限らず、ヨーロッパの航空会社サイトでは結構な確率でクレジットカードの決済手数料を請求されます)。銀行発行のデビットカードならこの手数料はかからないので、VISAデビットのカードを持っているなら、クレジットカードを使うよりも有利です。決済には、旅行に持っていく本人名義のクレジットカードを使いましょう。

 決済が終わると、セルフ印刷のチケットのようなページが表示されることも多いので、決済画面とともに必ず印刷して空港に持ってきましょう。

オンラインチェックイン

 多くの格安航空会社ではオンラインチェックインが可能です。ただ、このオンラインチェックインというのが、日本のイメージとはかなり違います。

 たとえば、搭乗まで一定日を切ってから予約した場合、決済が終了した時点でチェックインもオンラインで終了した扱いになる航空会社があります(Easyjetがそうです)。この場合、決済後の画面でいきなり搭乗券(bording pass)のページ(というかPDFファイル)へのリンクが表示されます。このPDFを印刷すれば、預ける荷物がない限り、当日は空港でカウンターに寄らずに搭乗できます。チェックインが終了しているかどうかを見分けるポイントは、"Bording Pass"という表示と、バーコードのような模様が表示されているかどうかです。

 また、オンラインチェックインが義務化されていて、これを忘れると追加料金がかかるという航空会社もあります(Ryanairがそうです)。これは各航空会社の利用条件を読まないとよく分からないので、きちんと確認をしておく必要があります。特に、旅行先で通信事情が不明(オンラインでチェックインできるか分からない)とか、搭乗券を自力で印刷できない(プリンタがない)とかという場合には注意が必要です。ただ、今はスマホの画面で搭乗券を表示できる会社もあるので、その辺りを含めて事前の情報収集が重要です。

空港でチェックイン

 格安航空会社は職員の数を極限まで切り詰めて安さを実現しているので、空港のカウンターには長蛇の列ができることも少なくありません。なので、基本的に空港でのチェックインはあまりお勧めしません。オンラインチェックインが可能なら、それが義務でなくても、やっておくのが無難です。

 ただ、空港でのチェックイン(的な作業)が必要になる場合が2つあります。

 1つは、手荷物を預ける場合です。手荷物を預けるにはカウンターに行くしかないので、この場合は、列に並んでください。ただし、チェックインと、荷物預け(Bag drop)の列が別になっている場合があるので、その場合は並ぶ列を間違えないように注意しましょう。

 もう1つは,RyanairのVisa Checkです。他の航空会社で同様のことをしているところがあるかどうかは不明なのですが、Ryanairでは、非EU市民はカウンターに行ってVISAのチェックを受ける必要があります(といっても、日本人の場合は観光などの短期滞在では多くの国でVISA不要なので、パスポートをチェックして確認するだけです)。

受託手荷物について

 格安航空会社の特徴の1つに、手荷物を預けるのが有料、というものがあります。エアベルリンのように、1つなら無料という会社もありますが、有料の会社の方が目立ちます。

 格安航空会社はここで儲けているというところもあるので、これは仕方ありません。オンライン予約の際に荷物も予約しておくとかなりの割引きになるケースもあるので、確実に荷物がありそうな人は事前に手続をしておくとよいでしょう。ただしその場合でも重量制限については非常にシビアなので、表示された重量を超えないように注意が必要です。

 預ける手荷物がある場合は、当日空港で、「Bag Drop」などの表示のあるカウンターに行って手続をします。手続自体はそれほど変わったところはなく、預ける荷物をベルトコンベア(重量計を兼ねています)に乗せて、搭乗券を見せ、事前に荷物の予約をしていればそれを確認してもらう(していなければその場で支払う)という感じです。

持込手荷物について

 格安航空会社持込手荷物の制限も厳格です。会社によってサイズ制限や重量制限には差がありますが、荷物は1個のみ可で○Kg以内、といった厳しい制限があるのが普通です。

 この「1個だけ」というのが曲者です。たとえばハンドバッグも荷物1個に厳密にカウントする会社もあります。そのような場合は、キャリーバッグやボストンバッグに収納して「物理的に荷物が1個だけの状態」にする必要があります。搭乗口でも荷物の数がチェックされているので、セキュリティチェックの後で買った免税品などもバッグの中にしまって「1個」にしなければいけません。

 個数制限や重量制限を超えた荷物は受託手荷物扱いになって超過料金を請求されたりするので気をつけましょう。  

搭乗口へ行く

 格安航空会社も、空港のセキュリティチェックは普通の航空会社と違いがありません。ヨーロッパの空港のセキュリティチェックは日本と比べると厳しく(こちらを参照)、行列ができていることも多いので、時間には余裕をもっておきましょう。

 セキュリティチェックを抜けると搭乗ゲートへ向かうわけですが、空港によっては搭乗ゲートの案内が搭乗直前になることがあります。たとえば、私がルートン空港でEasyjetを利用したときは、11時40分発の飛行機の搭乗口が11時5分になってようやく案内されました。

 Easyjetは出発30分前がGate Close(それまでにゲートに来ないと乗れないことがある)なので、5分しかありません。でも、こういうときは表示が出るまでゲートに行きようがないので、表示が出てすぐにゲートに行けば問題ありません。逆に言えばこれが曲者で、常に搭乗ゲートの案内に気をつけていないと、乗り遅れたり、次に説明する行列に出遅れたりするわけです。
 

搭乗口の行列

 格安航空会社では、座席指定がありません。便指定なので乗れないことはないのですが、先に乗った人から良い席を取っていきます。というわけで、搭乗口にはいつも行列ができます。

 行列ができるタイミングは空港によって様々です。1時間近く前から搭乗ゲートが分かる空港では割と早い時間から行列ができますし、出発の40分前にはじめて搭乗ゲートが分かるような空港では、ゲートに向かう人の波がそのまま行列になる感じです。

 ただし、会社によっては優先搭乗の権利を販売しているところもあります。優先搭乗すれば、その時点では機内には人はいないので、好きな席を選べるというわけです。航空券を購入する際にオプションが出るので、座席の位置にこだわる人は購入してもよいでしょう。

 なお、希な例として、満席見込みのフライトで搭乗ゲートで機内持込み予定の手荷物を荷物室に預けるボランティアが募集されることがあります。要するに満席で荷物棚が溢れそうな場合に、機内に持ち込まれる大きな荷物を少し減らすわけです。私はEasyjetに乗った際に実際に経験しましたが、このときは、搭乗口で次のようなアナウンスがされていました。

 「キャリーバッグなどの大きな荷物を貨物室に預けてもよいというボランティアを15名募集します。荷物の預託は無料です。ボランティアに応募すると、優先搭乗の乗客の後、一般の乗客よりも先に搭乗できます。ボランティアの応募者が15名に達しない場合、一般搭乗の最後の15名の荷物は機内に持ち込めないので、貨物室に預けていただくことになります」

 こんな感じです。行列の最後尾にいる人にとっては、応募しなければ、満席で条件の悪い座席にしか座れない上に、荷物を強制的に預けさせられる(=到着空港でターンテーブルを待つ)リスクがある一方、応募すれば優先搭乗に準じて好きな席に座れるわけです。なかなかよく考えられた方式だと思いました。

個人的な感想

 最初にも書きましたが、格安航空会社は高速ツアーバスのようなものです。そのメリットとデメリットを承知した上で、日本国内で同じようなスタイルの旅行をする場合に、高速ツアーバスを使ってもいいと思うかどうかを思い浮かべて、使うかどうかを決めると失敗しにくいのではないかと思います。

 ただ、個人的には日本からの1週間前後の旅行に格安航空会社を組み込むのはデメリットの方が大きい感じがします。
 まず、就航地がマイナーな空港であることです。Easyjetなどメジャーな空港にも発着する会社はありますが、格安航空会社は基本的に街から遠い空港が発着地になります。日程が限られている場合、空港まで余計な移動時間がかかるのは無駄が多いです。いくら航空券が安いとはいっても、旅行中の貴重な1時間2時間の価値と比べてその安さが見合うものなのかどうか、よく考える必要があると思います。
 次に荷物制限の厳しさです。日本からヨーロッパ旅行をする場合、荷物が満載されたスーツケースが1つに、手荷物がプラスされるというのが普通だと思います。しかし、格安航空会社では受託手荷物(カウンターで預けるスーツケース)の重量制限がシビアな上に、手荷物も確実に1個にまとめなければいけないなど、面倒が多いです。
 続いて遅延や欠航時の対応です。格安航空会社は、遅延や欠航があっても基本的に何の補償もありません。旅慣れた人ならそれでも問題なく対処できるでしょうが、たとえば同行者がその辺の事情に疎かったりすると、旅先でケンカということにもなりかねません。そうした余計なリスクを抱えたくなければ避けるのも一案です。

 ただ逆に、格安航空会社が積極的に候補に上がることもあります。格安航空会社はマイナーな空港を発着することが多いわけですが、たまたまそのマイナーな空港の近くに目的地がある場合、メジャーな空港に着く便よりも便利という副効果が生まれることがあります。
 たとえば、イギリスのケンブリッジに行く場合、ヒースロー空港からだと高速バスに乗るか、でなければ一回ロンドンの中心部まで移動して、そこから電車に乗ることになります。どちらも3時間は見ておいた方がよい行程です。一方で、ケンブリッジは格安航空会社が多く発着するスタンステッド空港からバスで50分で、値段も安いです。しかもスタンステッド空港なら、ヒースロー空港ほど入国審査で行列しなくてもよいかもしれません。そこで、あえてスタンステッド空港に行く格安航空会社を選ぶというのもアリでしょう。
 また、ある町の最寄りの空港に格安航空会社しか就航していないというケースもあります。たとえばフランスのカルカソンヌ(城塞都市として有名な世界遺産です)がそうで、市内から数キロのカルカソンヌ空港には、観光で使えそうな路線としてはライアンエアしか就航していません。大手の航空会社を使ってカルカソンヌに行こうと思うと、トゥールーズ空港に飛んで、バスで駅まで行き(所要約30分)、鉄道に乗る(所要約1時間)ことになります。しかし、この鉄道路線はそれほど本数が多くないので、運が悪いと結構な待ち時間が発生します。それだったら、各種デメリットを覚悟の上で最初からライアンエアで行くというのも1つの選択肢でしょう。

 さらに、片道航空券を買う場合も、格安航空会社が有利になることがあります。ヨーロッパの多くの航空会社は、片道の航空券にはほとんど割引がありません。そのため、往復航空券は150ユーロ(片道あたり75ユーロ)なのに片道航空券は300ユーロといった、意味不明な価格設定になっていることもザラです。ところが、格安航空会社は片道航空券でも値段は格安です。こういう場合、荷物を預ける追加費用などを考えても、格安航空会社が有利になることがあります。

 こんな具合で、メリットとデメリットをよく理解して使うなら、格安航空会社は十分検討に値する選択肢です。実際私も、随分お世話になりました。でも、使う場面は選んでいました。仕事で出張する場合や、旅行でも接待的要素が強い場合、無理のきかない子供を連れた旅行など、失敗ができない旅行では格安航空会社は最初から選択肢に入れません。一方で、どんなハプニングが起こっても旅の醍醐味として笑って済ませられるなら、格安航空会社はとても使い出があり、良い選択肢になると思います。

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初版作成:2012年06月 
最終更新:2017年07月