液体の機内持ち込み制限は、日本発の国際線でも行われているのとほぼ同じです。具体的には、
- 液体物は各100ml以下の「容器」(残量ではない)入りの物に限る
- 合計1リットルまで
- 20cm×20cm以下のジップロックのような袋に入れて他の手荷物と分ける
という制限があります。
ここでいう「液体」というのは一般的な日本語の「液体」よりもやや広い概念で、クリームや歯磨きペーストなどを含みます。
セキュリティチェックを受ける度にこの3つの条件を満たす必要があるので、たとえば乗継便がある場合に最初の出発空港でボトルのワインを購入すると、乗継空港のセキュリティチェックで制限に引っかかって放棄させられる、といった悲劇が起こります。
なお、EUのうちヨーロッパ大陸の各国の空港では、免税店で液体を購入する際には購入時にビニール袋に密封することで、セキュリティチェックをパスできるという仕組みになっています。この密封された免税品は、ヨーロッパ大陸の空港で乗継ぐ際のセキュリティチェックもパスできます。
ところがどういうわけか、イギリスの空港はこの対象外です。イギリスの空港免税店でお酒を買っても密封してくれませんし、試したことはないですが、おそらくヨーロッパからの乗継便で密封された免税品を持っていても放棄させられるのではないかと思います。何とも理不尽な話ですが、イギリスのテロ警戒レベルはかなり高いので、仕方ありません。
その他に注意が必要な手荷物として、パソコンがあります。ヨーロッパの空港では、ノートパソコンは必ず鞄から出して、見えるようにトレイに入れなければいけません(これを忘れて鞄ごとチェックに通してしまうと、別室に呼ばれて厳重検査を受ける羽目になることもあります)。
通常はパソコンだけをトレイに出せばよいのですが、あるマイナーな空港を利用した際に、全ての電子機器とケーブル類をトレイに出すよう指示を受けたことがあります。セキュリティチェック場で荷物の下の方に入れてあった充電器などを引っ張り出す羽目になり、さすがに参りました。他ではこんな経験をしたことはないので、多分この空港が特殊だったのだろうと思います。
スムーズにセキュリティチェックを受けるためには、準備が肝心です。まず、液体物は予めジップロックに入れて分けておく、パソコンは取り出しやすい場所にしまっておく、セキュリティチェックの列に並んでいる間にコートやジャケットは脱ぎ、ベルトは外して鞄の中に入れておく、これだけのことで、随分スムーズになります。
現地の人でも、結構もたついている人はいるので、多少時間がかかっても誰かに文句を言われることはないのですが、焦って妙なことにならないようにするためにも、事前に準備をしておいて損はないと思います。
ヨーロッパの空港の金属探知機の感度はかなり高いです。たとえば羽田空港なら、ベルトを外さずにゲートをくぐっても何も起きないと思いますが、ヨーロッパの空港ではほぼ確実に引っかかります。
私が経験した中で一番厳しかったときは、身につけていた金属類を全て外し、靴まで脱いだのに、金属探知機が反応したことがありました。後で考えてみると、そのとき履いていたジーンズの金属部品が反応したのだろうと思いますが、そこまで感度が高いとみんな引っかかってしまいそうです。
金属探知機が鳴っても、職員のボディチェックを受けるだけなのでそう大した問題ではありません。ただ、日本ではあまり経験しないことですし、職員から英語で色々と指示を受けることになるので、そんなこともあるのだと心の準備をしておいた方がよいかもしれません。
液体やパソコンを鞄から出し、コートやジャケットを脱ぎ、ベルトや腕時計を外してセキュリティチェックのトレイに入れると、1人でトレイ2つや3つは当たり前の状態になります。また、1人旅なら大したことはないのですが、子連れだったりすると子供の服の面倒まで見ないといけなかったりして、結構な量になります。
チェックが終わると、これを回収して収納したり身につけたりする必要があります。
ところが、検査場というのは結構バタバタした雰囲気で、後から後から、次の人のトレイが押し寄せてきます。でも、その流れに負けて慌ててしまうと、荷物の取り忘れや取り違えが起こります。時間がかかるのは皆分かっているので、文句を言われたりはしません。セキュリティチェックの場面ではパスポートや搭乗券といった、なくしたら大変なことになる書類もトレイに入れていたりするので、念には念を入れて慎重に回収しましょう。